外国人受入れ・教育
特定技能を受入れする予定の企業が必ず確認する必要がある事項 (特定技能の在留資格へ変更する前のビザ) について紹介します。
特定技能の在留資格を取得する際に元々保持していた在留資格から変更する場合とまだ母国にいて、初めて在留資格を取得する場合があります。
今回はそれぞれの方法で在留資格を得る際に注意すべきことなどを中心に紹介をします。
〇留学
もともと日本で留学(日本語学校、専門学校、大学など)をしていた方がこのカテゴリーにはいります。
・退学
日本でいた教育機関を退学して特定技能の在留資格取得を目指す場合です。
退学をした場合は14日以内にその旨を出入国在留管理局へ申告する必要があり、もちろんアルバイトなどもすることができなくなります。
そのため、退学した際にすでに特定技能の評価試験や日本語検定4級程度の日本語能力を証明できる資格をもっている場合は良いですが、それ以外の場合は在留期間内に帰国をすることになります。
現在はコロナウイルスの影響で母国にいる家族が日本の学費を援助してくれていた場合などに、金銭的な問題もあり退学をするケースもあります。
それぞれの国の状況にもよりますが、金銭的な問題で退学などをした場合には帰国困難の特定活動(6月)や雇用維持支援の特定活動(12月)を申請することもできます。
特定活動(6月)の場合は基本的にアルバイトのみ可能となりますが、雇用維持支援の特定活動(12月)を取得した場合は特定技能の試験の合格を目指して特定技能外国人となることを目標に就労することとなります。
・卒業
日本でいた教育機関を卒業した場合は残りの在留期間のうちに就職活動をするか就職活動をするための特定活動を取得することもできます。
いずれにしてもその在留期間内に特定技能の評価試験や日本語検定4級程度の日本語試験に合格をして特定技能の在留資格申請をしなければなりません。
〇特定活動
これから紹介する3つの特定活動についてはコロナウイルスの影響下のみで許可されている在留資格です。
・特定活動(4月)
こちらはすでに特定技能の評価試験や日本語検定4級程度の日本語試験に合格をしているが、書類上の準備などの理由により特定技能の在留資格申請をすることが在留期限までに間に合わないと想定される外国人が申請することのできる特定活動です。
この特定活動を申請する理由として想定される状況としては健康診断の受診が間に合わない、納税証明書などの取得が間に合わない、製造業などの分野では特定技能外国人を受入れするにあたり特定技能の在留資格申請をする前に特定技能協議会への加入が義務となっておりますが、その協議会加入の許可が下りない場合などが想定されます。
・特定活動(6月)
こちらの特定活動は主に技能実習を修了した外国人がその後もコロナウイルスの影響により帰国困難となっている場合に申請をする在留資格となります。同じ監理団体にて就労を継続する場合や違う職種での就労をする場合、受入れ企業も変更する場合などさまざまな状況が考えられますが、それぞれの状況によっても提出書類が違う点について注意が必要となります。
・特定活動(12月)
こちらは特定技能の在留資格を取得するための資格を得るために必要な能力を身に着けながらまずは12月の就労を許可される特定活動となります。
就労する職種について、特定技能の在留資格申請することのできる規定を満たしていないことが条件となっており、たとえば、農業の場合であるとまずは特定技能として就労する予定の受入れ企業にて働きながら特定技能の評価試験や日本語検定4級程度の日本語試験に合格することを目指すことになります。
この在留資格がある主な目的は日本にいるコロナウイルスの影響により職を失った外国人の雇用を維持することであるため、この状況が改善され次第、許可が下りなくなります。
〇特定技能
特定技能の在留資格は転職が許可されているため、特定技能→特定技能のような在留資格の変更をする場合も考えられます。
・特定技能1号
特定技能1号の在留資格を取得して就労している外国人については転職が認められているため特定技能の在留資格取得ができる範囲内であれば新たに特定技能1号の在留資格申請をして許可を得たうえで転職をすることが可能となります。
たとえば、農業分野にて特定技能1号として就労をしていた外国人が農業分野にて転職をすることは可能ですが、すでに他の分野の特定技能評価試験などを受験して資格を取得した場合への他分野への転職も可能となります。
・特定技能2号
現在は特定技能2号の在留資格を取得することのできた外国人はおりませんが今後、建築と造船分野にてまずは特定技能2号の在留資格を許可する予定であることが決まっております。どのような要件を満たせば特定技能2号の在留資格を取得できるかも未定の状況であるため、この在留資格を申請できるようになるためにはしばらくの時間がかかりそうです。
〇技能実習
こちらは現在、ほとんどの特定技能外国人が資格変更などをしたルートになります。
技能実習2号以上を修了した外国人については同じ職種内であれば特定技能評価試験に合格する必要もなく特定技能の在留資格申請ができます。
また、技能実習2号以上を修了している外国人についてはそれだけで無条件にて日本語能力試験を受験する必要もなく日本語能力が認められます。
・技能実習2号修了
技能実習2号を修了した外国人については主に、技能実習3号となるか特定技能となるかの2つの選択肢があります。在留期間でいえば特定技能については1号で最長5年、もし2号になることができた場合は無期限となるため、特定技能へと進む方が良い場合もあります。
・技能実習3号修了
技能実習3号を修了した外国人については特定技能の在留資格を申請する資格が与えられています。また技能実習3号を修了した後に特定技能へと移行する場合は外国人の日本にて就労することのできる期間を2年間延ばすことができることにもなります。
デメリットとしては特定技能3号ではすでに経験している技能実習1号や技能実習2号のように技能検定試験を受験する必要があることや技能実習日誌を作成したり技能実習制度を運用する必要があるため、特定技能外国人を雇用するより手間がかかります。
〇初めての入国
初めて入国する外国人については母国にて特定技能の評価試験や日本語検定4級程度の日本語試験に合格する必要があるため入国前に半年程度は学校や訓練校に通う必要があると思われます。また、技能実習生を経験した後に特定技能外国人となる人材とは違い、日本に来日することが初めての人材であるため、入社当初は技能実習生と同じレベルの手厚いサポートが必要であると思われます。そのため、入国させる特定技能外国人であっても、既に技能実習2号以上を修了した人材を希望する受入れ企業も多くあります。
まとめ
今回は特定技能の在留資格を取得するための注意事項などを資格取得前の在留資格別に紹介しました。現在はコロナウイルスの影響により日本国内にいる特定技能の在留資格を目指す外国人にとってはチャンスが広がっており、通常より多くの在留資格が用意されております。今状況は新規入国が始まるころには変わってくると想定されるため、今のうちに準備を進めておくことが必要となります。