法人インタビュー

敬寿会 様

特定技能の受け入れ開始から約1年間でベトナム人介護士26名を採用!

日常的なフォロー体制だけでなく、一人一人の“夢”もサポートできる環境づくりを 

敬寿会(山形県)

特別養護老人ホームなど

本部・事業課長 阿部吉友様

法人としての総合力アップにも期待!

東日本を中心に11拠点・79ヵ所で、特別養護老人ホーム『敬寿園』などを運営している敬寿会さん。

2018年4月に、初めてベトナム人の技能実習生2名を現地採用。現在は、特定技能「介護」のベトナム人介護士26名をはじめ、在留資格「介護」などを含めて約50名の外国人材が活躍中です。

「2045年には日本全体の高齢者割合が30%以上になるという今後の介護業界の人手不足に加えて、当法人全体での人材採用や定着が進まないという課題がありました。

そこで、外国人材の採用を検討していたときに、特定技能制度が新設されたので、本格導入を決めました」

外国人材採用には、法人としての“期待”も大きかったそうです。

介護人材の確保だけでなく、社会が多様化するなかで、日本人以外の方々を受け入れることで、法人としての総合力や対応力を上げたいという思いもありました。

また、『外国人材の教育や育成に当たる日本人スタッフも成長できるのではないか』とも期待していました」

受け入れのために、体制整備と研修に注力

一方で、受け入れに対する不安も。

「ベトナム人の方は親日家が多いという話を聞いていたので、すぐになじんでいただけると思っていましたが、“言葉の壁”が不安でした。

特に、『介護の専門用語をどう伝えるか』『記録や連絡をうまくやってもらえるか』という不安はありました。

そして、外国人材専門の紹介会社に『いい登録支援機関はないか?』と相談して、ユアブライトさんを紹介されました。

いいろいろな機関の話も聞きましたが、特定技能「介護」の国内試験で第一号合格者を出すなど、先駆的に取り組んできた豊富な経験・実績と、サポート体制なども充実しているのが、ユアブライトさんを選んだ最大の理由です」

受け入れ体制を準備するために、さまざまな新たな取り組みを行ったといいます。

「外国人材向けの教育体制の構築をはじめ、PDCAサイクルシートや外国人材専用の記録様式などを体系化しました。

また、既存スタッフへの事前研修にも力を入れました。ユアブライトさんに協力してもらって、ベトナムの生活様式などから、特定技能制度の詳細、教育の仕方や関わり方まで研修してもらいました。

さらに、職員全員に対して『やさしくしてね』という周知も行いました(笑)」

各拠点からの要望で、ハイペースな採用を実施

採用基準は、人柄とコミュニケーション力を重視したそうです。

「日本語に関しては、日本語能力試験N3以上を基準にしました。また、介護の勉強だけではなくて、日頃から日本語の勉強も自主的にできるという点も採用のポイントです」

2021年3月に、一人目の特定技能「介護」の方を採用後、1年弱で26名の特定技能のベトナム人介護士を採用。かなりのハイペースで採用を進めています。

「ハイペースの理由は、一人目・二人目の方々がすぐに現場になじんでくれて、非常によかったからです。

全11拠点から『もっと採用を進めてほしい』という要望がありましたので 本部を統括して各施設に数名ずつ採用を進めていきました。

ベトナム人の方に対する印象は、すごく礼儀正しくて、柔らかい表情されている方が多いですね。みなさん、とても『人懐っこいな』と思います。

そして、皆さん、本当に真面目で素直です。もちろん、理由のない遅刻や欠席、早退などはありません」

ひとを笑顔にするのが得意なスタッフたち

育成には日本人よりも少し長く時間をかけて、半年くらいで独り立ちを目指しているといいます。

「定期研修も、日本人スタッフよりも多めに実施しています。

一緒に仕事をするうえで気をつけているのは、“伝え方”です。基本的に、むずかしい言葉や接続詞などは使わず、わかりやすく端的に説明するように心がけています」

日本人スタッフとの関係もうまくいっているようです。

「一緒に食事に行くなど、プライベートでもコュミニケーションを取っています。

また、しっかりされている外国人材の方が多いので、日本人スタッフは『自分もがんばらなきゃ!』と刺激になっているようです。

利用者さまとのコミュニケーションにおいても、ひとを笑顔にするのが得意な方が多くて、なかには日本人スタッフよりも笑顔の引き出し方がうまい方もいます」

3階層の面談など、フォローにも工夫を

より働きやすい環境づくりや、定着のために行っていることは――。

「日本人スタッフに対しても同じですが、特に人間関係に配慮するようにしています。

『いかに風通しのよい職場をつくるか』『話しかけや声がけを適切に行えているか』など、教育担当者に気をつけるように指導しています。

また、外国人スタッフ向けの面談は、“管理職”“教育担当者”“教育担当者を教育する担当者”と、3階層の面談を設定している施設もあります。

『どういうところに困っているのか』ということを、立場のちがう三者が直接聞く機会を設けています」

私生活でのフォローにも気を配っているそうです。

「生活するコミュニティの場がベトナム人同士だけにならないように、幅広く“仲間づくり”ができるようにと考えています。

たとえば、日本人コミュニティへの参加や、地元のお祭りや季節の行事などに積極的に参加するなど、日本の生活や風習に触れてもらえる機会もつくるようにしています」

さらに、「本部主導でも、さまざまなサポートを行っている」と、阿部さん。

「リモート会議での拠点間のスタッフ交流や、利用できる補助金や教材などの情報提供、研修会の開催などで常にサポートしています。

また、ユアブライトさんには皆さんと同じベトナム人のスタッフがいて、こまめに対応してくれるので助かっています。

複数の担当者がついてくれて、本部からだけでなく、各施設からも気軽に相談できる体制ができています。フットワークが軽くて、1から10まで何でもやってくれるので安心です」

一人一人の“夢”の実現のサポートも

そして、実際に外国人材採用を行ってきた経験を踏まえて、成功ポイントを教えてくださいました。

「やはり、何よりも、採用面接と選考が一番大事だと思っています。

また、既存スタッフ向けの研修を行って、受け入れるための気構えや覚悟を事前に持ってもらえる土壌をつくることも重要です。

受け入れ体制をしっかり構築しておかないと、お互いに不幸になる可能性があると思います」

実際に働き始めてからのサポート体制の整備も不可欠とのことです。

「『ここで働いてよかった』と思っていただけるように、一緒に働いている教育担当者や仲間がさまざまなサポートをできるようにしています。

そして、一人一人の“夢”もサポートをしていきたいと思っています。たとえば、資格を取って日本に永住したい方には、資格が取れるような支援も実施中です」

ゆくゆくは、外国人材だけの施設も立ち上げたい

今後も拡大路線を進めて、当面の目標は「特定技能50名採用」だといいます。

「当初の目標は『2021年度中で20名以上採用』でしたが、早期に達成しましたので、さらにペースを上げて採用していく予定です。

外国人材の採用に取り組んで、皆さん真面目で、勤労意欲も高いので、本当によかったと思っています。

また、経営戦略として、人材確保とコストの面でとてもよかったと感じています。

今後、リーダーや役職者になれる人材に育っていってくれるといいなという期待があります。そして、将来的に外国人材だけで1つの施設を立ち上げられるようにしたいですね」

外国人材が不可欠な存在になっているという敬寿会さん。最後に、これから外国人材を進めようという事業者の方へのメッセージをいただきました。

「特定技能制度は柔軟性があって、介護福祉業界にとって非常に良い制度だと思います。

そして、制度をうまく活用するには、協同する登録支援機関さんの“質”がとても重要です。ぜひ、パートナーとして一緒に取り組んでくれる機関を選んでください」

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