特定技能・技能実習
特定技能外国人を支援する登録支援機関として登録するための手続きについて紹介します。
2019年4月より施工された特定技能制度。単純労働の外国人材を人手不足解消の目的で雇用することができるため、多くの企業が注目してきました。既に特定技能制度を利用して外国人を雇用している受け入れ企業や今後の受け入れを検討している企業を含めて特定技能外国人の受け入れを全て自社で行うのか、特定技能外国人を受け入れする際に実施が必須となっている支援業務などを登録支援機関へ委託するのかについて事前に検討をしておく必要があります。
特定技能外国人の受け入れについては技能実習生受け入れと比べると簡単ではありますが、実施が法律によって義務となっている多くの支援業務や申請書類作成があります。
そのため、多くの受け入れ企業では登録支援機関に支援業務の全てを委託することが多いのが現状です。2021年6月25日時点で登録支援機関として登録されている機関や個人は6,155件あり、特定技能を受け入れしている企業についても日々増加をしていますがそのほとんどが登録支援機関に支援業務の委託をしています。今回は現在高いニーズのある登録支援機関について、許可を得るために必要な手続きを紹介します
登録支援機関申請時の必要書類
登録支援機関となるには下記で紹介をするさまざまな申請書類を作成して提出する必要があります。まずは申請書類とその内容を紹介しながら登録支援機関となるための必要事項についても確認をしていきます。
●登録支援機関登録(更新)申請書
登録支援機関の基本情報や支援業務実施をすることができる体制を整えていることについて確認をして記載する書類です。
●登記事項証明書
登録支援機関として申請する機関の登記事項証明書(3カ月以内に発行されたもの)を提出します。
●住民票の写し
登録支援機関として申請するのが個人事業主の場合に提出が必要です。マイナンバーの記載は不要で本籍地の記載をする点にも注意が必要です。
●定款の写し
登録支援機関が法人の場合に提出が必要です。
●役員の住民票の写し
登録支援機関が法人の場合に特定技能外国人支援に関する業務の執行に直接関与する役員全員の住民票が必要となります。マイナンバーの記載は不要で本籍地の記載をする点、注意が必要です。特定技能外国人支援に関する業務の執行に直接関与しない役員の場合は住民票の写しを提出する代わりに直接関与しない旨をしるした誓約書を提出することもできます。
●登録支援機関概要書
登録支援機関が支援業務を実施する体制についてその詳細について記載をする書類で、特定技能外国人からの相談対応業務を実施する体制や事前ガイダンス、生活オリエンテーション、特定技能となった後の定期訪問の頻度や内容について記載をする書類です。その他、登録支援機関の支援業務を行う事務所の住所や登録支援責任者、支援担当者の情報などについても記載をします。
●登録支援機関誓約書
登録支援機関が登録拒否事由に該当しないことを誓約する書類です。
●支援責任者の就任承諾書及び誓約書
支援責任者の役割について理解してそれらを理解したことについて誓約する書類です。
支援責任者は以下の事項について総統括管理することが求められています。
〇支援担当者や支援業務に従事するその他の職員の管理にについて
〇支援業務の進捗状況の確認について
〇支援業務の履行状況について届け出をすることについて
〇支援業務に関する帳簿の作成・保管について
〇受け入れ企業との連絡について
〇特定技能制度にかかわる関係機関との連絡調整について
〇その他の支援業務に必要な全ての業務について
●支援責任者の履歴書
支援責任者となる方の履歴書を提出します。
●支援担当者の就任承諾書及び誓約書
支援担当者は1号特定技能外国人支援計画に沿った支援の実施が重要な役割として義務付けられています。
●支援担当者の履歴書
支援責任者と同様に履歴書を提出する必要があります。
●支援委託手数料に係る説明書(予定費用)
支援委託手数料について受け入れ企業へ請求する予定費用を記載する書類です。
●法施行規則第19条の21第3号ニに該当することの説明書
登録支援機関が支援業務を適正に実施することができる者として出入国在留管理庁長官が認めるものであることを説明する書類が必要です。
具体的には、登録支援機関が下記の①~➂いずれかに該当している必要があります。
➂を選択する場合には既に紹介をした履歴書でも経験の詳細について記載する必要があります。
①登録支援機関になろうとする者が過去2年間の間に在留する中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績があること
②登録支援機関になろうとする者が過去2年間の間に報酬を得る目的で本邦に在留する外国人に関する各種の相談業務に従事した経験があること
➂選任された支援責任者及び支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者の生
活相談業務に従事した一定の経験を有する者であること
●法施行規則第19条の21第3号ニに該当することの説明書に係る立証資料
上記で説明をした事項を立証する資料を提出する。
●手数料納付書
新規登録の場合は28,400円、登録更新の場合は11,100円の手数料を納付する必要があります。それぞれの金額分の印紙を購入して提出する必要します。
●返信用封筒
404円分の切手を貼った封筒またはレターパックプラスを同封すること。申請結果について、こちらの返信用封筒で郵送されます。
登録支援機関申請の審査基準
審査には約2カ月以上の時間がかかるため、これから登録支援機関となる予定の場合は支援業務を開始する2カ月前には申請を行う必要があります。
申請にかかる費用
既に紹介したように新規で登録支援機関になるための申請を行うには28,400円の申請手数料が発生します。
その他の確認事項
登録支援機関として認められた場合は登録支援機関の名称が出入国管理局のホームページにある登録支援機関登録簿に記載され、出入国管理局からは登録支援機関登録通知書が交付されます。登録支援機関として認められなかった場合は登録拒否通知書が交付されます。
登録支援機関として登録される期間は5年間となっているため、それ以降も支援業務を行う場合は登録更新申請を行う必要があります。
まとめ
登録支援機関として登録申請するためには今回紹介したような多くの申請書類を提出する必要があり、2カ月以上の期間もかかります。特に登録支援機関概要書に記載する相談対応をする体制については特定技能外国人が母国語で相談をすることができる体制があることがもとめられており、登録支援機関に母国語の通訳ができる方がいない場合には委託するなどして通訳者を確保しておく必要もあります。
また、もし受け入れ企業が独自で特定技能外国人を受け入れする場合は登録支援機関のサポートを受けないため、一部支援業務の委託をすることはできますが、基本的には自社にて支援体制を整えておかなければなりません。
また、特定技能外国人を受け入れる際に作成をする申請書類も膨大なため、登録支援機関と契約をしていれば、申請書類作成についても代行して頂ける場合も多いです。これらも踏まえて、特に外国人の受け入れ経験が浅い企業が特定技能外国人を受け入れする際には登録支援機関の助けを借りて、自社でも外国人の受け入れ経験が溜まり特定技能制度の理解も深まったころに自社での運用もご検討されるのが良いと言えます。