特定技能・技能実習
注目の介護系在留資格について4つの在留資格について解説します。
日本は現在、少子高齢化の影響で多くの分野で人手不足が深刻とであり、日本政府も外国人材の活用を最も推進しているのが介護分野です。介護分野での在留資格は主に4つ設けられており、それぞれ、特定活動、特定技能、技能実習、介護です。
今回は「技能実習」と「特定技能」の介護系在留資格を中心に紹介をします。
目次
在留資格”技能実習”について
介護職種での技能実習は2017年11月より始まりました。
技能実習の中でも新しい職種で、2019年度末には、介護の技能実習許可を受けたのは約9千名で技能実習生全体の2.4%を占めています。国別ではベトナム人が3,523名、中国人が1,173名、インドネシア人が1,423名となっています。
技能実習の他の職種ではない受入れ要件もあるため、他の職種より受入れ難易度が高いです。
在留資格”特定技能”について
2021年3月末でこの在留資格を取得して日本に在留しているのは約1,700名で特定技能外国人全体の7.6%となっています。国別ではベトナム人が870名、インドネシア人が280名、フィリピン人が184名です。
この3ヵ国については特定活動にて在留資格が認められている3ヵ国であり、特定技能へ試験など免除でなることができる要件のひとつとしてEPA介護福祉士候補者としての在留期間満了とあり人数が多い理由です。
介護分野にて外国人を受入れするためには技能試験・日本語試験に合格する方法とその他にも3つの方法があります。
➀特定技能の技能試験・日本語試験への合格
〇技能試験
介護技能評価試験が国内外にて頻繁に実施されており、国内の他にフィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、インドネシア、モンゴル、タイの7か国で受験が可能です。
介護技能評価試験は合格率にばらつきがありますが、平均すると約60%の合格率です。
〇日本語試験
日本語試験は①国際交流基金日本語基礎テスト②日本語能力試験N4に加えて➂介護日本語評価試験の3種類です。
介護日本語評価試験の結果は全ての試験の平均点が約80%です。
②介護福祉士養成施設を修了
留学生として介護福祉士養成施設を修了すれば特定技能1号の在留資格への申請資格が与えられます。
➂EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了
もし、介護福祉候補生として日本いる間に介護福祉士の資格を取得できなかった場合でも特定技能への移行が可能です。そのため、新たに5年間、特定技能の在留資格で就労を継続することができます。
④介護分野の技能実習2号を修了
技能実習2号を修了していれば特定技能になる権利が与えられます。
在留資格”介護”について
介護の在留資格は2020年度末で日本にて就労している外国人は約1,700名で日本にいる外国人のわずか0.1%を占めています。
介護の在留資格を取得するためには介護福祉士の資格をもっていることが条件です。今回紹介している介護系在留資格の中でもいちばん取得難易度が高い在留資格ですが、家族帯同ができ、在留資格の更新期間も無制限で可能です。
現在のみ特例措置で2017年~2022年3月末までの介護福祉士養成施設の卒業生については介護福祉士をもっていなくても5年間の有効期限にて介護福祉士としての登録をすることができます。この介護の在留資格は有効期限付きの介護福祉士資格でも申請可能で、下記①と②の場合にはこの特例措置が適用され引き続き介護福祉士資格の保持することができます。
➀卒業後5年以内に介護福祉士国家試験への合格
②卒業後5年間介護の実務に従事
在留資格”特定活動”について
特定活動の在留資格はフィリピン、インドネシア、ベトナムと日本との間で結ばれた経済連携協定(EPA)を根拠として運用されている制度です。2019年度では761名がこの在留資格で日本に在留しており、その内の人数が多い国順にインドネシア300名、フィリピン285名、ベトナム人176名となります。
また、インドネシアとは2008年から、フィリピンとは2001年から、ベトナムとは2014年からこの制度を使っての受入れが開始されており、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)がこの制度にて候補者あっせんなどを行う唯一の受入れ調整機関です。
特定活動EPAの在留資格を取得するための要件は3ヵ国それぞれで異なります。
そのため、採用する外国人の国籍によって技術や日本語能力にも違いがあることが多いです。
技能実習と特定技能のメリット・デメリット
技能実習のメリット
雇用の安定
制度上、転職ができないことができないため雇用の安定につながります。あくまでも実習のために日本にいるため、特別な理由が無い場合以外は基本的に同じ施設にて技能実習を継続することになります。
特定技能試験の免除
特定技能へ移行する際に受験する必要のある、技能試験と日本語試験が不要となります。
特定技能の在留資格を申請するためには技能試験と日本語試験のひとつに合格する必要がありますが、それらが無条件で免除されます。
技能実習2号を修了していれば特定技能の在留資格を申請するための要件を満たすことになります。
技能実習のデメリット
費用・負担が大きい
就労未経験者である場合が多く、来日も初めてであり、受入れ企業側の生活サポートなどの負担も大きいです。且つ見えない費用としても、入国後に実施必要な日本語学校通学のための費用や技能検定試験受験費用、渡航費用などさまざまな費用が発生し、そのほかの制度運用上の各種書類作成などの手間も大きいです。
新設要件がある
介護職種の技能実習生を受入れするためには受入れ事業所が設立後3年間を経過している必要があり、このような要件があるのは介護系在留資格の中でも技能実習だけです。
特定技能のメリット
受入れ要件が簡単
特定技能を受入れするためには4つ在留資格が用意されておりますが、技能実習2号の修了者は無条件で特定技能への移行が可能でもし、特定技能評価試験を受験する場合でも比較的合格率が高い試験のため、受入れ要件を満たすことは他の在留資格と比較しても簡単であると言えます。
受入れ後の運用が簡単
介護分野にて日本で在留している外国人のほとんどが目指しているのはさまざまな特権nを手にすることができる介護の在留資格ですが、特定活動や技能実習の場合は多くのルールや煩雑な報告書の定期提出などがあります。一方で特定技能については3カ月に1度の定期報告書提出のみが義務付けられており、受入れ後の運用は非常に簡単といえます。
特定技能のデメリット
在留資格申請手続きが煩雑
特定技能は施行された2019年4月より、現在でも申請書類などが頻繁に変更されており、特定技能を申請する国籍によってもそれぞれ違うルールが存在するなど申請手続きが煩雑です。
また、受入れ企業も特定技能協議会へ加入する必要があり、受入れ後は定期で協議会が受入れ事業所を巡回訪問します。
まとめ
今回は介護系在留資格4つを紹介しました。
介護分野にて就労する外国人の最終的な目標は介護福祉士の資格を取得して介護の在留資格を取得することであることが多く、外国人本人の努力にもよりますが、最短ルートで取得できるように受入れ側も在留資格について勉強する必要があります。
新設された特定技能の在留資格では、政府が施行から5年間で60,000名の受入れを目標としており、介護分野は外国人の採用を最も重要視されている分野です。
今後、さらに外国人の増えていくこの分野で最大限のメリットを享受できる在留資格の選択をして行く必要があります。