現在、新たな外国人の入国が不可能な状況が続いており、それに伴い国内にいる主に技能実習を修了した外国人を特定技能外国人として採用する動きがあります。

そんな中で、以前は少なかった製造業や農業などの分野を含む、単純労働の現場にて転職活動が活発になり、それにともない、事前の雇用条件の説明やその他転職時に必要な手続きができておらず後々トラブルになるケースもあります。

今回は特定技能外国人を雇用する際に必ず確認しておきたい項目について紹介をします。

〇基本給

基本給は転職者や新たに日本に入国する特定技能外国人が一番気にするポイントです。

ほとんどの特定技能外国人が一番はじめに見るのがこの基本給であり、この基本給が求人へ応募するかを決める際の一番大きな要件となります。

〇年間労働日数

年間労働日数は月給を採用している受入れ企業の場合には、時給換算額の確認にも必要な数字となるため、面接の際などにも聞かれることが多いです。

〇一日の労働時間数

こちらの数字も月給を採用している受け入れ企業の場合は、時給換算額の確認にもなり、残業代が何時間以上一日で就労したら発生するかを確認する際の数字にもなります。

〇長期休暇

受入れ企業で就労した場合の長期休暇の時期について、畜産業などの場合は長期休暇が少ない場合が多く、製造業で大きな企業などでは多い場合もあります。

〇月の平均残業時間

特定技能外国人はほとんどの場合、残業を多く行いたい場合が多いです。

日本で就労している目的がお金を稼ぐためであり、毎月の家族への送金などもあるため、いくら基本給が高くても残業が全くない場合には求人への応募者が集まりにくい場合もあります。

〇月の平均夜勤時間

夜勤に関しては全くない企業もありますが、夜勤をした場合は25%の割り増し賃金が支払われることもあり、こちらも特定技能外国人が知りたい項目のひとつです。

〇寮について

特定技能外国人の多くは自分でアパートなどの手配をすることは困難である為、受入れ企業が手配をした寮へ入居することになります。

寮に関しては、会社までの距離や自分の部屋があるか、多国籍の外国人を受入れしている企業の場合は他国の外国人と同じ寮になる可能性はあるかなど説明をしておくことが必要です。また、水道光熱費についても寮費に含まれている場合や別途かかった分を支払う必要がある場合もあるため、注意が必要です。

〇手当

特定技能外国人の場合は日本語検定を取得している人材も多く、日本語能力に対して手当があるかどうかやその他の通勤手当の有無などについても確認をされる場合があります。

〇昇給・賞与

技能実習生の場合は転職ができないという縛りがあるため、多くの企業では外国人が最低賃金にて3年間の就労をしておりますが、特定技能の場合は昇給や賞与がある企業が多いため、基本給とともに同業他社との比較として特定技能外国人が確認を求めてくる項目と言えます。

〇寮の備品・自転車の有無

特定技能外国人に対しては寮の備品を提供することなどは義務ではありませんが、多くの受入れ企業では最低限の大型家電(冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・コンロ)などは準備してあり、自転車も受入れ企業が購入して提供する場合が多いです。

〇インターネットの有無

特定技能外国人はほとんどの場合、技能実習を3年間以上修了した外国人です。

その理由は技能実習を3年間以上修了した外国人については特定技能になるための実技試験や日本語試験が免除となるためです。

技能実習生はほとんど日本語を話すことができず、寮にもテレビがあるケースなどはほとんどないため、仕事帰りや休日はインターネットに接続して動画を視聴したり家族と連絡をとって時間を使っています。

テレビを日本で見ない外国人にとってインターネットは無くてはならないものであるため、寮にインターネットが備わっていることが特定技能外国人大きな関心事のひとつです。

〇従事する仕事の内容

特に現在は雇用維持支援の特定活動という在留資格が発行されており、特定技能への移行を目指すことを条件に異業種への転職が許可されています。

技能実習と同じ職場にて就労する場合は問題が少ないですが、異業種や違う職種への転職をする場合には面接の際などにビデオなどを使って実際に入社後に従事する職種を見せたり、事前に職場見学を実施するなどして認識の違いが無いようにする必要があります。

〇給料支払日などの諸条件について

給料の締め日や支払日、健康診断実施の有無などについて説明をする必要があります。

〇技能実習生との違いについて

技能実習生は受入れ企業が渡航費用を負担したり、技能実習生保険へ加入している場合は病院へ行った際の窓口負担分の費用が申請すれば返還される場合もありますが、特定技能になると、受入れ企業は渡航費用を負担する必要が無くなり、特定技能外国人のための保険がありますが、加入をしていない場合も多いため、それらの違いについて説明をする必要があります。

〇特定技能へ移行する際の必要書類を確認

特定技能へ移行する際には、外国人本人が準備をする必要のある書類がいくつかあります。

納税証明書や課税証明書、源泉徴収票、申請書を作成する際の職歴が確認できる履歴書、専門級の合格証書などが主な必要書類となります。

納税証明書や課税証明書については本人が1/1に居住していた住所の管轄の役所で取得する必要があります。

また、源泉徴収票については転職前の前職より取得する必要があります。

元技能実習生で特定技能となるための技能試験・日本語試験の免除を希望する場合は専門級の試験の合格書(実技試験のみでも可)を取得するか、技能実習生の際の監理団体と受入れ企業が作成する評価調書の作成を依頼して取得する必要もあります。

特に納税証明書や課税証明書、源泉徴収票の取得をする際には注意が必要で、課税証明書と源泉徴収票はそれぞれ対応している年度のものを取得する必要があるため、たとえば令和2年度の源泉徴収票を取得した場合は対応する年度の課税証明書は令和3年度のものとなります。また、納税証明書についてはすべての納期が到来している直近年度の書類を取得する必要があるため、令和2年度のものである場合もあれば、令和1年度のものを取得する必要がある場合もあるため、取得する市役所の窓口にて確認をする必要があります。

まとめ

今回は特定技能となるための外国人本人が準備する必要のある書類や、面接の際などに確認をする必要がある項目について紹介をしました。

現在、コロナウイルスの影響もあり、異業種からの特定技能となることを前提として転職が可能となっていることなどもあり、他県から引越しをしてくる外国人もいるため、特定技能申請のための書類を取得するのが以前よりも大変であったり、転職の場合は前の監理団体や登録支援機関との折衝業務もあるなど常にさまざまなことを想定して特定技能申請のための準備を進める必要があります。

受入れ企業が自ら申請業務などをするのはまだまだ少数派ですが登録支援機関に支援業務の委託をする場合であっても今回紹介したような確認事項はもれなく確認されているようにチェックしていく必要があります。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主に特定技能に関する情報を発信しております。

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