今回は、ネパールの交通機関についてのご紹介です。

ネパールの交通機関は、自動化されたシステムが無いため人力による運用が続いています。自動化されることで便利で快適になるということよりも、人が人に頼って仕事や生活が成立するというスタイルがいまだネパールには残っています。

ネパールで利用できる交通機関は、バス・タクシー・テンプ―(オート三輪車)。

ネパールでは移動がしやすい自家用バイクの普及が盛んですが、公共の交通機関も一般庶民に欠かせない移動手段となっています。

人力に頼ったネパールのバス

ネパールの首都カトマンズには都市を一周する環状道路リングロードがあります。リングロードの内側が市街中心部で外側は郊外住宅地です。

バスの路線はリングロードを一周ルート、市街地と郊外地ルートがありカトマンズの各方面に向けて運行しています。

バスの運賃は1乗り15~25ルピー。時刻表はありませんが本数が多いので問題なく利用できます。運行時刻は早朝6時~夕方7時くらいまで、朝夕は通勤通学ラッシュで混み合います。

バスの乗り降りでは、出口際で人が譲り合うというルールがないため時間がかかります。バスの扉は基本的には開けっ放しで、混雑時には乗客が外側まではみ出して移動することは普通にあり、移動のために手段を選ばずというネパール人の特徴が見えてきます。

運賃の払い方は、バスを降りる時にカラシ(車掌係)に直接手渡しで支払います。運賃箱も無ければ両替ができる設備も無くもちろん専用のICカードもありません。

降車ボタンは無いので停留所の名称をカラシ(車掌係)が大声で叫ぶので、それに答えて”おりまーす!”と叫ぶと停まります。

ネパールのバスには、自動化された機能は無くすべて人力で行われていて、カラシ(車掌係)が乗客整理や運賃の切り盛りすることで成り立っています。

乗車マナーについては、女性専用席が設けられていることや、高齢者や子供が乗ってくると自然と席を譲るという習慣があります。車内で大声で話していても誰も不快に感じることはなく、大音量の音楽が流れていてもそれを耳障りだと言う人もなく、ガソリンが無くなれば乗客が乗ったままガソリンスタンドを経由することも普通です。

車内環境は、エアコンはなく窓や扉は開けっ放し、椅子がズリ落ちることもあったり、いろいろな人が乗ってくるし、物だけ運ぶこともあったり、清潔ではないし新しくもない、これを快適と言わないかもしれませんが、慣れると便利な交通手段となります。

値段交渉で乗るネパールのタクシー

一昔前のネパールタクシーは旧式の車種が多かったのですが、現在はインド製のマルチスズキが一番多く走っています。小回りが利いてどんな路地でも入って行くことができるので目的地までしっかり届けてくれます。

タクシーの乗り方は値段交渉から始まります。メーターが装備されていますが、たいがいは壊れているとかの理由でメーターを回してくれません。値段交渉なので運転手によって運賃はまちまちです。

はっきり運賃を決めてから乗りたい人は配信アプリでタクシーを呼ぶ方法もあります。外国人が乗る場合、ぼられることが多いので相場を知っておくと交渉しやすくなります。

シートベルトの着用は、交通ルールとして警告が出ていますが、ほとんどの運転手は市街地では着用、郊外に行くと着用しないといった具合で曖昧です。シートベルトに限らず一定の交通ルールが定められてはいますが、守らない人や要領の良い人が多いので、ルールとして成り立って行かないというところです。

懐かしいスタイルのネパールのテンプ―

テンプ―は電気で走るオート三輪車です。日本でも1950年代までオート三輪車が街を走っていたそうですが、独特のエンジン音と懐かしいスタイルが特徴的で近代化されていなカトマンズの街によく似合っています。

テンプ―の路線はバスとほぼ同じルートを走っていますが、乗り降り場所は自由でどこでも停まってくれます。運賃は20ルピーくらい。

テンプ―の車内は、対面席に5人、5人づつくらい座ることができて、天井に横長のポールが設置してあるので、そこに捕まっていくと揺れの激しいテンプ―の中でも安定して移動することができます。テンプ―の車体の後ろは扉が無く開いているので、そこから乗り降りします。

車体には行き先がネパール語で書かれているので、わからない時は運転手に尋ねると教えてくれます。

ネパールの交通事情とルール

カトマンズでは慢性的な渋滞が続いていて、通勤通学時のラッシュアワーや駐車・停車違反による渋滞、信号機の代わりとなる警察官の交通整理も行き届かず、牛が道路に居座っていることもあり、大渋滞は日常茶飯事です。

渋滞を緩和する信号機や横断歩道は最近になって普及して来ていますが、交通ルールを学校で学ぶという習慣がないため、誰もがいきなり実践から交通ルールを体験しているといった感じです。

ネパールの常識では、信号機のない路上は、運転手と歩行者がうまく折り合いをつけながら横断するという暗黙のルールがあり、急発進や急ブレーキ、急いで走って渡るというような激しい動きは無く、緩やかに横断するというのがネパール人誰もが実践しているルールとなっています。

まとめ

近代化の遅れているネパールでは、人力に代わる自動化システムがなく、交通機関に限らず様々な場面が昔ながらの方法で行われています。いつまでも変わらない古い機能が活躍しているネパールでは、便利という快適さの代わりに、人に頼って何かすることや気ままに暮らす習慣が残っていて、人間臭いネパール人の特徴は、こういった便利ではない環境から生まれた持ち味なのでしょう。

この記事を書いた人

shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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