特定技能・技能実習
日本に就労している特定技能外国人数の推移について紹介します。
2019年4月より施行されて特定技能制度について、今回は日本で就労をしている特定技能外国人数の推移について注目をしながら紹介をしていきます。
日本で就労をしている特定技能外国人の数については出入国在留管理庁のホームページにてその人数が公表されています。
今回は、公表されている人数の推移について紹介をしながら、今後の特定技能外国人の受け入れ状況について予想をしていきたいと思います。
目次
2019年6月末時点での特定技能外国人の人数について
この時点で日本に在留している特定技能外国人の数は日本全体でわずか20名しかおりませんでした。
また、その内の18名については製造業分野にて受け入れをされた特定技能外国人で11名はタイ国籍でした。
この時点では特定技能制度が始まってわずか2カ月余りであるのと、申請手続きについても情報が少なく、特定技能制度を使おうという企業も少なかったため、少ない人数にとどまっていると思われます。
2019年12月末時点での特定技能外国人の人数について
この時点で日本に在留している特定技能外国人の数は日本全体で1,621名まで増加しました。
また、ベトナム国籍が901名となり最多となっており、インドネシア国籍189名、フィリピン国籍111名、ミャンマー国籍100名、中国国籍100名、その他国籍の人数順となっております。
6月末時点と比べると大幅に特定技能外国人の人数が増加しており、技能実習生と同様にベトナム国籍の人数が増えております。ほとんどの特定技能外国人となっている外国人が技能実習2号以上を修了している外国人です。
技能実習修了者が多いのは技能実習2号以上を修了した外国人については特定技能となるための要件である技能と日本語能力を満たしていると無条件で認められるためです。
特定技能になるための技能評価試験もこのころは実施されている試験も少なく、受け入れ企業からみても、技能実習で3年間すでに技能を身につけている外国を採用する方がメリットが大きいのも関係していると言えます。
2020年3月末時点での特定技能外国人の人数について
この時点で日本に在留している特定技能外国人の数は日本全体で3,987名となっています。
2019年12月末時点と比べると、人数が増えてはいるものの大きく人数が増加しているとは言えません。
その大きな理由の一つがこのころから新型コロナウイルスの影響が世界的に大きくなっていることが原因と言えます。
新型コロナウイルスの影響で日本の経済にも影響が出ただけでなく、新規入国にも影響が出始めてきた頃のため、このころからは特定技能外国人の人数増加率も鈍化しています。
2020年6月末時点での特定技能外国人の人数について
この時点で日本に在留している特定技能外国人の数は日本全体で5,950名となっています。
2020年3月末と同様に新型コロナウイルスの影響で増加率の鈍化が続いております。
また、2020年4月7日~5月25日には第一回目の緊急事態宣言が発令されていた影響もあり、特定技能外国人の受け入れについてもその影響を大きく受けて
いるために増加率の鈍化につながりました。
2020年9月末時点での特定技能外国人の人数について
この時点で日本に在留している特定技能外国人の数は日本全体で8,769名となっています。
2020年6月末と同様に新型コロナウイルスの影響で増加率の鈍化が続いております。
外国人の入国が国籍によっては可能であった時期ではありますが、依然として新型コロナウイルスの影響が大きく、特定技能の新規入国が難しかった時期です。
国内にいる外国人の帰国も困難なために、技能実習生を修了しても帰国ができない外国人が国内に多くなっており、特定活動に切り替えて帰国を待っている状況が増えていました。
特定活動となった外国人の一部については技能実習をしていた企業でも生産量の低下などにより就労をすることができずに、他の企業にて就労先を探すか、失業保険を受給しながら日本に留まっているというケースも増加した時期です。
特定活動でも一定の条件の下で最大で12カ月の在留資格が付与され、さらに技能実習で従事していた職種とは違う職種での転職も可能となり、直接、特定技能とはならずに、一旦、特定活動を挟んだ後に特定技能を目指す人材も増えていた時期です。
2020年12月末時点での特定技能外国人の人数について
この時点で日本に在留している特定技能外国人の数は日本全体で15,663名となっています。
このころの特定技能外国人はほとんどが国内で技能実習生または留学生などから特定技能へと移行する手続きを経て、特定技能外国人となっている場合が多いです。
新しい外国人の新規入国ができない為に技能実習を修了した外国人を国内で”特定活動”の在留資格を使用して向かい入れる場合や”特定技能”として他の企業にて技能実習を修了した外国人を面接などを経て雇用している場合が多くなっています。
農業などの一部の分野では繁忙期にあてにしていた技能実習生が入国をしなかったために深刻な人で不足となっており、特定技能や特定活動を使って国内にいる外国人を
募集し、積極的に採用しているケースも多くなっています。
2021年3月末時点での特定技能外国人の人数について
この時点で日本に在留している特定技能外国人の数は日本全体で22,567名となっています。
度重なる緊急事態宣言の影響などもありますが、国内にいる外国人が入国できない技能実習生や特定技能外国人の補填として
国内にいる外国人材を特定技能として迎え入れる企業が多く、そのために特定技能外国人の人数が増えていると想定されます。
また、2021年3月末から現在までも国内人材の特定技能への移行はありますが、日本国内での新型コロナウイルスの影響が収まる気配が無く、東南アジア諸国でも多くの国で新型コロナウイルスの流行がひどくなっている場合もあるため、しばらくは国外からの特定技能の入国は他の外国人と同様に遅れることが予想されます。
また、それに加えて特定技能になるための技能評価試験の海外での実施などにも遅れがでており、その他ではミャンマーの政治状況が不安定になるなど、特定技能外国人が増えるには向かい風となってしまうさまざまな事態が発生しています。
そんな中でも、まずは新型コロナウイルスが落ち着いた後には日本国内は再び人材不足となることは想定されるため、特定技能外国人の5年間の受け入れ目標人数達成は未達となることが可能性が非常に高いですが、今後は少しずつ、特に介護分野などでは必ず多くの特定技能外国人材が雇用されていくと思われます。
一方で外食や宿泊分野は新型コロナウイルスの影響をもろに受けて、日本人でも失業者で多く出ている状況であるため、この分野での特定技能外国人の雇用についてはしばらくの間停滞することも予想されます。
まとめ
2019年4月時点で政府が発表していた特定技能外国人の受け入れ人数目標は特定技能の対象14業種にて5年間で合計最大34万5150人でした。
実施には約2年が経過した2021年3月末時点でも約2万2千人しかいないため目標達成まで大幅に遅れていると言えます。