2019年4月より運用が開始された特定技能制度、始まったばかりでまだまだ知名度の低い在留資格ですが、日本の人手不足解消の名の下、2021年3月末時点で約22,000人以上が特定技能の在留資格を取得して日本で就労しています。今回はそんな特定技能を受け入れることができる14分野について紹介します。

特定技能の14分野とはそれぞれの分野の情報について紹介

特定技能は人手不足が深刻な14分野での受け入れが可能でそれぞれに受け入れ見込み人数まで発表されております。また、特定技能は1号と2号があり、主な違いは特定技能2号になると家族を日本に連れてくることができ、在留資格の更新期間も特定技能1号が最長で5年なのに対して、特定技能2号は無期限での延長が可能となっております。しかし、特定技能2号へ進むことができるのは現在「建設」と「造船・舶用工業」分野だけとなっており、どのように特定技能2号へ移行できるかも決定されておりません。そんな特定技能の分野についてそれぞれの情報を紹介します。

  • 介護

特定技能のなかでも最も注目されている分野で受け入れ見込み数についても最大数を設定されています。介護分野については既に複数の介護外国人を受け入れ可能な在留資格がありますが、その中でも特定技能で介護分野があるのは人手不足が特に深刻であるとされているからです。また、訪問系の介護サービスを行っている事業者は特定技能外国人の受け入れをすることができません。

受け入れ見込み数 (5年間) : 60,000人

管轄機関 : 厚生労働省

  • ビルクリーニング

ビルクリーニングも高齢化が進んでいる上に、日本人の担い手がとても少ない分野のため多くの見込み数が設定されております。

受け入れ見込み数 (5年間) : 37,000人

管轄機関 : 厚生労働省

  • 建設

特定技能2号への移行対象分野となっており東京オリンピック関連の建設需要増加もあって多くの特定技能外国人の受け入れが期待されていた分野ですが手続きが非常に難しい分野としても知られています。具体的に特定技能外国人が建設キャリアアップシステムに登録する必要があることや国土交通省より建設特定技能受入計画の認定を受ける必要があるなど、他の分野では求められていない基準もあり且つ、多くの費用も別途かかるなどの理由でこちらも需要のわりに受け入れが進んでいません。

受け入れ見込み数 (5年間) : 40,000人

管轄機関 : 国土交通省

  • 素形材産業

3つある製造業カテゴリーの中の1つで製造業の中では1番多い受け入れ見込み数が設定されています。製造業カテゴリーで共通していえることはどの分野でも加入が必須の協議会への加入審査が厳しく、申請から加入まで3カ月以上かかっている場合もあります。また、現在では特定技能になりたい外国人が入国管理局へ申請をする前には協議会へ加入をしていることが必須となったため、協議会へ未だ未加入の受け入れ予定企業は協議会への加入と入管への在留資格取得のための申請を合わせて、5カ月程度の期間がかかる場合もあることを覚悟しなければなりません。また、協議会へ加入の際には分野に該当する証明として、製造している製品写真やその納品書の提出が求められていますが、審査の途中で追加提出を求められるケースも多くあるので注意して下さい。

受け入れ見込み数 (5年間) : 21,500人

管轄機関 : 経済産業省

  • 産業機械製造業

製造業カテゴリーの1つで素形材産業と同様に協議会加入の際には製品写真や納品書を提出しますが、素形材産業よりも製造品が分かりやすく、協議会加入の際の審査は素形材産業よりは簡単です。

受け入れ見込み数 (5年間) : 5,250人

管轄機関 : 経済産業省

  • 電気・電子情報関連産業

上記の2つと同様に製造業カテゴリーの1つです。

受け入れ見込み数 (5年間) : 4,700人

管轄機関 : 経済産業省

  • 造船・舶用工業

こちらは建設分野とともに2号特定技能への移行が可能となっている分野です。

受け入れ見込み数 (5年間) : 13,000人

管轄機関 : 国土交通省

  • 自動車整備

こちらの分野では登録支援機関へ支援業務を委託する場合は、登録支援機関も協議会へ加入することが義務となっています。

受け入れ見込み数 (5年間) : 7,000人

管轄機関 : 国土交通省

  • 航空

コロナの影響をもろに受けている業界で、受け入れ見込み数も少ないですが、人手不足の分野の一つとして特定技能の分野の一つとして選ばれています。

受け入れ見込み数 (5年間) : 2,200人

管轄機関 : 国土交通省

  • 宿泊

技能実習でも2020年2月に2号移行対象職種として登録されました。こちらの分野はコロナ下で特定技能外国人の採用も大幅に減っておりますが、将来的には日本政府も推進しているインバウンド需要の手助けとなる外国語が話せる人材として重宝されるため、多くの需要が見込まれます。

受け入れ見込み数 (5年間) : 22,000人

管轄機関 : 国土交通省

  • 農業

この分野では欠かすことのできない人材として技能実習生がいましたが、現在は新規入国ができないために国内にいる人材を農業分野で受け入れるケースも増えています。他分野の技能実習を行っていた外国人を農業分野で特定技能外国人として受け入れするケースもあり、高齢化と労働人口低下の著しいこの分野では特定技能外国人受け入れが進んでいます。

受け入れ見込み数 (5年間) :36,500人

管轄機関 : 農林水産省

  • 漁業

繁忙期・漁期などの季節雇用も可能で且つ、全ての漁業・養殖業職種での受け入れができます。また、自家生産物の加工や販売など技能実習時には許されていなかった業務にも従事できます。また、農業と漁業分野では派遣での雇用が認められており、スポットでの人材確保が可能となり、閑散期には人件費がかからない点も技能実習時とは違い特定技能が受け入れ企業に喜ばれている点です。

受け入れ見込み数 (5年間) : 9,000人

管轄機関 : 農林水産省

  • 飲食料品製造業

こちらの分野では技能実習ではない菓子製造などの分野でも外国人を雇用することができるため、技能実習生の雇用ができなかった受け入れ企業で特定技能の受け入れをするケースもあります。その場合にはハムやソーセージの製造をしていた元実習生を特定技能として採用して、菓子製造に従事させることができます。飲食料品製造と一括りにしても多くの種類の業務や製造品がありますが、技能実習を3年間修了した人材であれば実習中の業務や製造品にかかわらずどの飲食料品製造会社でも特定技能として雇用されることができます。

受け入れ見込み数 (5年間) : 34,000人

管轄機関 : 農林水産省

  • 外食業

こちらは2番目に多い受け入れ見込み数を設定されている分野です。風俗営業関連の営業所や風俗営業関連の接待を行わせないことさえ守れば、全ての外食業で受け入れすることができます。調理や接客、店舗管理が業務に含まれていますが、接客に関しては日本語能力もある程度高くないといけないため、最初は調理などの業務がメインになると思われます。

受け入れ見込み数 (5年間) : 53,000人

管轄機関 : 農林水産省

まとめ

今回、個別で紹介した分野それぞれのルール以外にも特定技能には注意しなければならない多くの点があります。例えば、受け入れ企業が非自発的離職者(何等かの理由で会社が従業員を解雇)した場合はその解雇した従業員が日本人であるか外国人であるかを問わず、雇用している全ての特定技能外国人を含めて1年の間雇用をすることができなくなります。

また、特定技能の受け入れ人数については、政府発表で各分野の人手不足の状況によっては受け入れを中止する可能性もあるとされています。現在はコロナの影響で日本人ですら失業者が多く出ており、特に外食産業などでは失業率も上がっております。そんな中で人手不足解消のための特定技能の受け入れが今後どうなるかはわかりませんが、法律も頻繁に更新されるこの制度について日々確認をしながら受け入れをしてください。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主にベトナムに関する情報を発信しております。

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