外国人インタビュー

頑張る外国人インタビュー/ミャッさん

日本の介護の技術を学んで、将来はミャンマーの若いひとにも教えていきたい!

ミャッ チョー テゥー。31歳。ミャンマー出身。埼玉県秩父市在住。子どもの頃からモノづくりが好きで、高校を卒業して実家の家業の大工を手伝った後、現地の工場や自動車修理の仕事を経験。2018年8月、家具メーカーの実習生として来日。21年6月に介護分野の特定技能評価試験に合格し、同年11月から老人ホームで勤務。

日本人の生活や日本の技術を学びたかった

――ミャッさんは、小さい頃からモノをつくることや機械を触ることが好きで、日本製品に興味があったとお聞きしました。

はい、ミャンマーでは日本製の自動車や家電などが人気で、私も「日本の素晴らしい技術を学んで、ミャンマーで活かしたいな」と思っていました。

それが、日本に行きたいと思った大きな理由です。

――もともと、日本にも興味があったのですか?

日本のアニメや映画をよく見ていて、特にドラえもんや浦島太郎のアニメや、映画『ラストサムライ』が好きでした。

また、日本の文化はミャンマーと似ているところがいろいろあって、仏教やお坊さんの存在などもそうですし、お年寄りのお世話を大切にするという点も同じです。

ですから、日本人がどんな風に生活しているのかということを知りたかったですし、その生活も学びたいなと思っていました。

――ほかに、日本でやりたかったことはありますか?

鎌倉見物です!

ミャンマーでは、「鎌倉の大仏のお土産などをもらうと、日本に行ける」「大仏に祈ると、夢が叶う」というウワサがあります。

私も、地元の友だちの家に遊びに行ったときに鎌倉の大仏の写真を見たことがあって、そのときに「日本に行きたい」とお祈りしました。

――ウワサ通りに、夢がかなったんですね!

そうなんです(笑)! まだ、実際に大仏を見に行けていませんが、いつか必ず行きたいと思っています。

ご近所のお年寄りと仲良くなって、介護の勉強も

――去年(2021年)の6月に、介護分野の特定技能評価試験に合格したとのことですが、どうして介護の仕事にチャレンジしようと思ったのですか?

介護はひとのお世話ができる仕事ですし、介護福祉士の資格をとれば日本で長く住むこともできるので、自分に一番合っていると思いました。

――いままで経験がなかった介護の仕事の勉強は大変でしたか?

大変でしたが、私はお年寄りとお話しするのが好きで、実習生として働いていた会社の寮の近くに住んでいるお年寄りの皆さんと仲良くしていて、介護についてもいろいろと教えてくださいました。

週末は一緒に過ごすことが多くて、お世話などもお手伝いしていたので、それも勉強に役立ちました。引っ越したいまでも連絡を取り合っていて、仲良しです!

――それは、すごく素敵な関係ですね! 介護の施設がいろいろあるなかで、いまの職場で働こうと決めた理由を教えてください。

私が働いているのは老人ホームで、ベトナム人スタッフは6人いますが、ミャンマー人はいませんでした。なので、「ミャンマー人が仕事を真面目にする」ということを日本の方に知ってもらいたいという思いもあって、ここを選びました。

スタッフは全部で30名くらいで、ご利用者さまが60名くらいいらっしゃいます。

――実際にお仕事を始めて、どんなふうに感じましたか?

初めて出社した日に、社長さんや先輩たちが温かくお迎えしてくださったので、とてもうれしかったです。

そして、私がわからないことを質問すると、笑顔で教えてくださいました。皆さんやさしいので、いまも楽しく働けています。

――ご利用者の方たちと初めて会ったときの感想は?

皆さんにごあいさつするときに「私は来たばかりなので、わからないことがあったら許してください」とお話したら、とてもやさしく教えてくださいました。

いまでも、わからないことがあったらいろいろと教えてくださって、親切な方ばかりで働きやすいです。

一緒に歌って、笑って、ご利用者さまの笑顔がやりがいに!

――お仕事をしているときに、気をつけていることはありますか?

ご利用者さま一人一人の性格やお食事、お薬などがちがいますので、皆さんの特徴を覚えてきちんと対応できるようにしています。

たとえば、「あのひとには、どうやって話したらいいかな」「何が好きか「どんなときに、どんな薬を飲むか」ということに細かく注意しながら接するように心がけています。

――どんなときに、介護の仕事の楽しさややりがいを感じますか?

私は昔の日本の歌が好きで、おやつの時間などに皆さんの前で歌っています。『北国の春』などを皆さんと一緒に歌っているときは、本当に楽しいです。

また、皆さんに面白い話をするのも好きで、笑顔になってくださるとやりがいを感じます。ご高齢者の方がさみしい思いをしないように、いろいろと工夫をしています。

――自分のアイデアを活かせる職場なのですね。

ほかにも備品を片付ける場所がないときに、「段ボールで収納スペースをつくりましょうか」と提案したら採用してくださったこともあります。

私の考えも取り入れてくれるのですごくやりがいがありますし、介護の仕事が好きなので毎日楽しく過ごしています!

――奥さんと娘さんがいらっしゃるとお聞きしましたが、ご家族にとっても“自慢のお父さん”なんじゃないですか?

二人ともミャンマーにいますが、毎日電話で話していて、近所のひとも「いい仕事だね」と言ってくれているそうです。ミャンマーでは、「お年寄りのお世話をすることは良いことだ」とされていますので。

ミャンマーの若いひとに、介護の技術を教えたい

――いま頑張っていることを教えてください。

仕事をもっと覚えようと、一生懸命頑張っています。

そして、日本語の勉強も頑張っています。日本語が上手になれば仕事についてもよくわかるようになるので、毎日、寝る前に2時間ほど勉強しています。

――お休みの日は、何をして過ごしていますか?

介護の仕事は健康が大切なので、よく食べて、よく寝て、リフレッシュしています。そして、朝早く起きて走ったり、散歩をしたりもしています。

仕事がお休みの日は、さみしいなと感じることもあります。「あのご利用者さん、大丈夫かな」と、いつも考えています。

――日本で働いてよかったと思うことはありますか?

いまの会社でも、前の会社でも、日本人の仲間たちが笑顔で接してくれることがすごくうれしいです。

外国で仕事をしているので、さみしさを感じることもありますし、むずかしい仕事もあります。でも、どんなときでも、みんなの笑顔を見たら、「諦らめずに、がんばろう!」と思えます。

――いい仲間に出会えて、幸せですね! では、今後、ミャッさんがやりたい“夢”を教えてください。

介護の仕事を頑張って、介護福祉士の資格を取って、ミャンマーにいる家族を日本に呼んで長く住みたいです。

日本人の生活が好きですし、介護の技術ももっと学びたいと思います。そして、もしミャンマーに帰ることになっても、介護の仕事は続けたいですね。

――介護の仕事が、本当に好きなんですね。

はい! そして、介護を学べるクラスなどをつくって、若いひとたちに日本で身につけた技術を伝えたいとも思っています。

勉強だけではわからない、「実際の介護の現場では、どうすればいいか」といったことも教えてあげたいです。

――最後に、日本で頑張って働いている外国人の方や、これから働きたいと考えている外国人の皆さんにメッセージをお願いします。

いつも笑顔でいて、思いやりを持つことが一番だと思います。

そして、自分の将来に役立つ安定した仕事を探して、もしむずかしいことがあってもあきらめないで、一生懸命頑張っていってください!

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