外国人インタビュー
銀行勤めを辞めて、日本へ! 日本の優れた介護を学んで、ミャンマーでも広げたいです。
ジン コ ウー。28歳。ミャンマー出身。岐阜県安八郡在住。地元の大学の数学学科を卒業後、銀行勤務を経て、2018年9月に技能実習生として来日。翌年2月に日本語能力試験(JLPT)N4に合格し、21年10月に介護分野の特定技能評価試験に合格。22年1月から、岐阜県の特別養護老人ホームに介護士として勤務。
小さい頃から、日本のアニメや昔話が好き
――来日前は、ミャンマーで銀行に勤めていたそうですね。なぜ、銀行を辞めて日本で働こうと思ったのですか?
私は子どもの頃から日本のアニメが大好きで、学校から帰ったら、すぐテレビの前に行って見ていました(笑)。
一休さんやドラえもんが特に好きで、その頃からずっと日本に興味を持っていて、「いつか行きたいな」と思っていました。
――アニメが、日本に興味を持ったきっかけだったんですね。
はい。いまもワンピ―スが好きで、フィギュアもたくさん持っています! アニメ以外にも、侍や忍者など、日本の昔話も小さい頃から好きでした。
また、中学生のときに、地元のお祭りで「富士山をバックに写真を撮る」というコーナーがあって、妹と一緒に写真を撮ってもらったこともあります。ここだけの話ですが、自分の国よりも、日本のほうが好きかもしれません(笑)。← (消していただきたいです)
――日本に来る直接のきっかけは何ですか?
2018年の初めに、お父さんがマレーシアで働いていて、「日本で働く人材を探している」という日本の会社のひとと知り合いになりました。
そして、お父さんから「日本に行きたいか?」と国際電話がかかってきまして――。ちょうど、友だちとゲームセンターで遊んでいるときで、突然な話だったので驚きました。
でも、「行きたい!」と答えて、銀行を辞めて日本語の学校に通うことにしました。
――想像もしていなかったような急展開だったんですね!
そうなんです(笑)。その年の9月に日本に来て、山梨県にある塗装会社で働き始めました。そして、3年経った21年10月に介護の特定技能評価試験に合格しました。
知らなかったことを学べることもやりがいに
――介護の仕事をしようと思った理由を教えてください。
元々、おじいさんやおばあさんと接することが好きで、老人ホームで働いている友だちから話を聞いて「自分に合っている仕事だな」と思ったからです。
実際に働き始めて、毎日楽しくて、介護の仕事を選んでよかったなと思っています。ミャンマーにいる家族も、喜んでくれています。
――お仕事に、どんなやりがいを感じていますか?
バイタル(脈拍や血圧、体温など)の測り方や、薬の名前、健康にいい食べ物など、いままで知らなかったことがわかるようになることが楽しくて、やりがいになっています。
そして、ご利用者さまとお話ししているときもすごく楽しいですね。私は昔から“おしゃべり”なので、皆さんといろいろなお話をしています。そして、ご利用者さまが笑顔になってくださると、とてもうれしいです。
――ご利用者さまと、いい関係が築けているんですね。
皆さんやさしくて、うれしい言葉もたくさんかけてくださいます。
たとえば、普段勤務しているフロアとちがう職場で3日間ほど仕事をして、戻ってきたときに「ジンさん、どこに行っていたの?久しぶりだね!」とおっしゃっていただいたことがありました。
まだ働き始めて間もないのですが、自分のことを覚えていてくださっていて、うれしかったです。
ほかにも、「ミャンマーから来て働いているなんて、すごいですね!」と言ってくださったり、“ジン”という名前を「漢字ではこうやって書くんだよ」と教えてくださったりするので、この仕事をして本当によかったと思います。
――仕事をするときに気をつけているのは、どんなことですか?
申し送りの記録をきちんと見て、自分で考えるようにしています。
たとえば、体調を崩している方がいらっしゃれば、「どんな薬が必要か」「看護師さんを呼ぶ必要があるか」などを考えて対応しています。
また、ひとによってお食事もちがいますから、「この方はアレルギーがある」「この方は噛む力が弱いから、きざみ食を」といったことを間違えないように気をつけています。
大好きな日本映画を見て、“やる気”アップ!
――ジンさんが、いま頑張っていることを教えてください。
介護の専門用語や病気の名前など、聞いたことがない言葉もたくさんあるので、頑張って覚えています。
あと、漢字もむずかしいので、一生懸命勉強しています。介護と日本語をどんどん勉強して、介護福祉士の資格も取りたいです。
――いまの生活で楽しいことは何ですか?
私以外にミャンマー人1人とインドネシア人4人の外国人スタッフがいて、一緒にゴハンを食べに行ったり、家に遊びに行ったりすることです。
日本人スタッフもやさしいひとばかりなので、職場のみんなと過ごす時間はとても楽しいですね。いつも野菜や果物などをくれるのでうれしいです!
休日に一人でいるときは、近所のスーパーに自転車で買い物に行ったり、部屋の掃除や洗濯をしたり、家族と電話したりしています。
部屋でアニメや映画を見ることも多くて、『ハリーポッター』など、好きな映画は何回も見ています。
――好きな日本の映画は?
『ビリギャル』が大好きです。日本に来る前から何回も見ていて、いまでもよく見ます。
特に、日本語能力試験などを受ける前や、ちょっとやる気が出ないときなどに見ると、やる気が湧いてきます。
――それは、いい映画と出会いましたね! 日本でやりたいことはありますか?
富士山に登りたいです! 昔からずっと、いつかは登りたいと思っていました。
ほかに、鎌倉や神戸、大阪、そしてお寺がたくさんある京都にも行ってみたいです。新幹線も乗りたいし、やりたいことはたくさんあります。
――楽しみなことがたくさんあっていいですね。
はい。いま(2月)は雪がかなり積もっているのでなかなか出かけられないですが、山梨にいたときは桜を見に行ったり、近所のお祭りに行ったりして楽しかったので、春になるのを楽しみにしています。
でも、こんなにたくさんの雪を見たのは生まれて初めてなので、日本の冬も好きです。
ミャンマーで日本の“介護”を広めたい
――日本に来て、一番よかったことは何ですか?
日本に来られたこと自体が、すごくよかったです。ずっと大好きな国だったので。
それに、日本は社会や経済が安定しているので安心して仕事ができますし、頑張って働いてお父さんとお母さんにお金を送れることもよかったです。
――今後のジンさんの夢を教えてください。
まずは日本語能力試験を受けようと思っていて、頑張ってN1に合格したいです。そして、介護の仕事も頑張って、できるだけ長く日本に住みたいと思っています。
もしミャンマーに帰ることになったら、介護の会社や老人ホームなどをつくりたいです。日本の介護サービスは、世界的に見ても良いサービスだと思いますから、ミャンマーにもあればいいなと考えています。
そして、自分が学んだ介護の技術や知識が、お父さんやお母さんが年を取ったときにも役に立つと思うとうれしいです。
――最後に、ジンさんのように日本で頑張って働いている外国人の方や、これから働きたいという外国人の皆さんにメッセージをお願いします。
日本で働くには、日本語が一番大事だと思います。だから、勉強を一生懸命に頑張ってください。日本語が上手にならないと、自分がやれることが限られてしまいますし、仕事をするときのストレスにもなってしまいます。
私は読めない漢字がまだまだあって、もっと勉強すればよかったなと思っています。私もいまN1合格を目指して頑張っていますので、皆さんも頑張ってください!